【就職活動】就職するなら上場企業がいいのか→「上場しているかどうかで選んではいけない」

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過去の就職活動を振り返ると、わかりやすい指標として「上場企業」に就職したいという目標を掲げる学生は多くいました。

確かに、上場企業には「安定」「優良企業」「ホワイト企業」などといったイメージがあります。

また、学生であっても上場しているかどうかは、知識がなくても簡単に調べることができます。

そのため、学生は「上場」というわかりやすい看板にだけ注目して、企業の本質的な部分に関しては考えることをやめてしまう傾向があるのではないでしょうか?

そこで今回は主に下記のようなことについて書いてみようと思います。

  • 上場企業という基準だけで会社を決めていはいけない
  • 上場企業というステータスは一指標に留めておく
  • 上場していない有名な企業は存在する

詳しくは後述しますが、「上場企業はダメだ」というような単純な話ではありません。

むしろ、おおざっぱにいえば「上場している企業のほうが優れていることが多い」のは事実です

それでもいくつか例外はあります。その例外を知らずに「上場企業がいい」と無思考になってしまうことは危険なのです。

企業が上場する目的

企業が上場するのには理由があります。優良企業は必ず上場するというものではありません。

細かい説明は省きますが、基本的には資金調達という目的のために企業は上場します

また、知名度の向上やブランド力・信頼性の獲得を期待するケースも多くあります。

下記の記事でも「上場の最大のメリットは億単位の資金調達」であり、同時に「知名度アップと優秀な人材の確保」をメリットに上げています。

参考:上場のメリットとは?なぜ企業は上場を目指すのか

上記のように、上場には理由があるのです。

逆に言えば、上場する必要がない企業もあるということです。また、そうした企業が必ずしも上場企業に劣るとは限りません。

上場のデメリット:利害関係者が増えて経営が難しくなる

上場にはいくつかデメリットもあります。その一つが利害関係者が増えることです。

企業は顧客、社員、取引先など多くの利害関係者に囲まれているからこそ、経営が複雑で難しいものになっています。

上場することでさらにその利害関係者が増えてしまい、経営が難しくなることが想定されます。

例えば、企業は社員に優位な経営を進めようとしても、株主の反対でそれが実現できないということもあるかもしれません。

パブリックカンパニーになれば多くの株主が現れ、多種多様な意見が上がってくることになります。上場する前は経営者の思いのままに進んでいた事業も株主の意向により変更を余儀なくされるケースも出てくるかもしれません。

株式上場の8つの条件とメリット・デメリット総まとめ|Founder(ファウンダー)

もちろん上場には多くのメリットもあります。企業はメリットとデメリットを加味して上場するかどうかを判断しているのです。

単に「上場できるならする」というものではありません。

同じ業界でも上場している、上場していない企業

同じ業界で同じように有名な企業でも、上場している企業と上場していない企業があります

「上場している会社が良い」のであれば、片方しかエントリーしないということになりますが、果たして自然な就職活動の戦略と言えるでしょうか。

ここでは非上場で有名な企業を紹介しています。

ビール・飲料業界など:サントリー

ビール・飲料業界でサントリーは非上場企業として知られています。

キリンやアサヒは志望するが、サントリーは志望しないというのは不自然ですし、企業としての魅力は同等でどこを第一志望とするかはその人次第でしょう。

サントリーは、清涼飲料を扱う子会社などの一部の子会社は上場しているものの、本体であるホールディングスは非上場。

サントリー新浪社長 非上場企業の強みとは|NHK NEWS WEB

建築業界:竹中工務店

竹中工務店も非上場企業として知られています。大企業でも非上場であるケースは、決して少なくはありません。

スーパーゼネコン5社(大林組、鹿島建設、清水建設、大成建設、竹中工務店)の一つであり、現在では5社の中で唯一、大阪市に本社を置く企業である(本店は大阪・東京それぞれに設置している)。

竹中工務店 – Wikipedia

家電業界:ヨドバシカメラ

家電のヨドバシカメラも非上場企業です。少し古い記事ですが、下記では優れた収益体質の一因として非上場企業であることがあげられています。

非上場ゆえに他のお店よりも値切りにくという噂も……。

実はヨドバシは10年3月期以来、7~8%台の経常利益率を継続している。これは安値競争を繰り広げてきた家電量販大手の中で異彩を放つどころか、実に優れた経営実績を残してきた。ビジネスモデルの際だった強さを示してきたのがヨドバシカメラだ。
(中略)
ヨドバシの「我が道を行く」経営戦略の真骨頂はどこにあるのか。まず大きな要因として、非上場の同族企業である点が挙げられる。藤沢昭和・現社長が1960年に創業し、当初は「街のカメラ屋さん」だった。

ヨドバシカメラ 「我が道を行く」経営戦略の真骨頂とは – ライブドアニュース

上場企業でも待遇の悪い企業はある

下記2つの記事では、平均年収の低い上場企業と高い上場企業が掲載されています。

極端な例ではありますが、同じ上場企業でも年収300万円に届かない企業もあれば、年収2000万に届きそうな企業もあります。

参考①:上場企業版!「平均年収が高い」500社 | 賃金・生涯給料ランキング | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準

参考②:公開!平均年収が高くない500社ランキング | 賃金・生涯給料ランキング | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準

言うまでもなく、先ほど紹介したようなサントリーなどの非上場企業は、高水準の待遇を用意しているでしょう。

またぼくの勤めている企業も非上場ですが、少し前のデータでは平均年齢30台前半で年収960万円と公開していました。

このように、年収の面からいっても一概に非上場であるから年収が低いとはいえないことがわかります

一方で、もちろん上場企業のトップクラスは目を見張るような待遇を用意しています。

しかし、上場企業と非上場企業で年収が明らかに差があるわけでない以上、「上場企業か非上場企業か」という括りで就職活動をすることはそれほど意味のあることではないのです。

一部上場かどうかは、一つの指標にとどめておく

「上場企業にしか興味はない」という考えが有用でないことを理解していただけましたでしょうか。

もちろん、繰り返しになりますが、基本的には上場している企業のほうが安定していて、待遇もよく、法律も守ると言われていますし、おそらくそれは正しいでしょう。

ただ、上場企業にも待遇の悪い例外はあるし、非上場にも待遇の良い会社があります。そして、それらは安易に無視できる割合ではありません

そのため、上場しているかどうかはくまで一つの指標に留めて、様々な要素を参照して志望する企業を決めて欲しいと思います。

まずは就活の定番、業界地図を購入して業界ごとの企業の存在感などを確認してみるとよいでしょう。

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