優秀な人になるといのは曖昧な目的です。その人が置かれている状況や仕事の内容によって方法論は異なるからです。
しかし、あらゆる場面で共通する考え方があります。それが「偏差値思考」です。
ここでは「普通の人ではなく優秀な人になりたい」という人に向けて、その思考法を説明していきます。「自分は部活や職場でビハインドしている。どうしたらいいのか」といった人には直接的に語りかけません。一方で、その場合でもこの考え方は十分に応用できます。
1.優秀の定義
「優秀」を下記のように定義します。
かなり抽象的な表現ですが、あらゆる場面で使えるようにするとこうなります。考えようによってはあたり前のことだろうと思うかもしれません。
しかし、これを意識した上で自分の行動を考えると、「このままでは優秀になれない」ということに気づくことができます。
2.「みんなやっている」について
2.1.「みんなやっているから」では優秀にはなれない
よく仕事で「こうしたほうがいい」というアドバイスをすると「でもみんな、こうやってますよね?」と反論されることがあります。この反論は決して間違っていない。みんながやっていることをやれば間違っているとは言われないし、なにより平均点の成果をあげることができます。
わたしは「そうだね、みんなそうやってますね。だから同じことをすれば偏差値50の人材になれます。○○さんは偏差値50の人材を目指していますか? それとも偏差値70の人材ですか?」と問いかけます。
※わたしの会社はITのシステム開発・コンサルの会社であり、採用では「成長」という言葉を前面に押し出しているのでこういった言い回しをします。
優秀であるということは平均から外れていることを意味します。ですから、みんなやっているという「平均」の行動をしていては優秀にはなれないのです。
2.2.「みんなやっているから」は”思考停止”ではない
一方で、みんなと同じことをしては優秀になれないからといっても、それが思考停止だとまでは言いません。
普通の人よりも成果をあげられない人は、他人からやり方を学ばずに自己流で暴走して、周囲の人がフォローのためにコストをかけることになり、全体としてマイナスになります。
そうした人と比較すれば「みんなやっているから」という思考方法は決して間違っていません。むしろ正しいとすら言えます。
よく「みんなと同じすることをするな」と言われますが、あれはキャッチーに極端に言っているだけです。実際には、大半はみんなと同じことをして、一部の強みにしたい部分について違うことをできないかを模索していく形になります。
社会的に成功した人であっても、服を着る時間を削るために裸で仕事をする人はいませんよね? そこはまでは突き抜ける意味がありません。
一方で、常に同じ服装をするというのは、考え抜いた末の人と違う行動です。それでも大半の人から「悪くないね」と思われるようなシンプルでスタイリッシュな服装を選んでいたりと、ある程度の常識は維持しているのです。
3.偏差値思考の具体的な使い方
偏差値思考は下記のステップで考えていきます。大切な要素は2つです。「平均を理解する」ことと「プラスの方向に外れていくこと」です。
- まずはみんながどうやっているかを把握してその通りにできるようする(=新入社員が入社直後から優秀であることはそうない)
- 仕事を進めていくなかで、みんながやっている思考・行動に疑問を持つ
- 疑問を持ったものについて人と違うアクションプランを考えて、「これはプラス方向のアクションだ」と思ったら実践する
- 自分の感触や他者からのフィードバックをもとに、これが本当にプラス方向のものなのかを確かめる(他人と違うことをしている自分に酔わないように注意する)
- これは意義のあることだと確信を持てたら行動を継続する。優秀な人と評価されるための1つの要素となる。
4.他人と違うことをしろだけだと不十分
よく優秀な人になるには「他人と違うことをしろ」といいますが、これだけでは不十分だと考えています。そのために”偏差値”という言葉を使っているのです。
仕事の方法を研究していない若手にこうした事を言うと、暴走する若手になるケースがあります。
なにが意味があって、なにがないのかを理解できていないのに他の人と違う行動ばかりするので、アウトプットが出ない。周囲は火消しに苦労する。先輩が方向修正をしようとしても、根本的なところが違っているから、ショックを与えないように”まだまし”な形にするのに骨が折れる。
能力がないのに、起業家を気取っているただの若者なんてやっかいでしかないですよね。
他人と違うすることは必要ですが、それで十分ではありません。その行動がプラスになる行動でないと偏差値40、30になってしまうからです。
まとめ:優秀な人になるための基本的な戦略
プラスの方向というのは極めて抽象的な言葉です。また、平均を目指すことすら難しいこともありますし、暴走してしまっている自覚がないこともあります。そして一定の時間がかかります。
優秀な人というのは相対的少数だから、偏差値が偏った側にいるからこそ優秀だと言われるのです。ですから、短時間で簡単にその評価を勝ち取れることはありません。
ただ、根本的なアプローチが間違っていたら、必要以上に時間と労力がかかってしまいます。ぜひこの戦略を使って、正しい努力をしてほしいと思います。