リーダーの役割は「奉仕」である。奉仕型リーダーシップのススメ

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奉仕型リーダーシップ(サーバントリーダーシップ)をご存じでしょうか。このリーダーシップは多くの人に適している方法であるにも関わらず、あまり知られていないかもしれません。

そしてほとんどの人は「引っ張る」リーダーになり、リーダーはみんなを導くものだという考えを固く信じています。

ケン・ブランチャードの「ザ・リーダーシップ」をもとに奉仕型リーダーシップの概要と、素晴らしいものなのかを紹介していきましょう。

偉大なリーダーは「奉仕」する

「偉大なリーダーの秘密とは、奉仕することだ」*1

奉仕型リーダーシップは、一般的に想像されていると正反対のリーダーシップであるといえます。

従来型のリーダーシップはメンバーの頂点に立ち、みんなを引っ張っていくでしょう、指示を次々と出していき、自分が先頭に立って様々な行動をしていくのです。

「活躍をするのはリーダーで、それを支えるのがメンバー」というイメージを持つかもしれません。

 
奉仕型の場合、むしろメンバーをいかにして活躍させるかに注目します。リーダーはいわゆる“大活躍”をするわけではなく、メンバーが最大限に力を出せるように奉仕することが主な仕事なのです。

活躍をするのはメンバー、それを支えるのがリーダー」という言い方もできるでしょう。

 
従来型のリーダーシップも効果的なものであるとは言われていますが、ほとんどの人に適しているのは奉仕型リーダーシップです*2

部下が自分で動かない」「リーダーである自分ばかりが大変な思いをしている

こうした悩みを抱えている人は、特に奉仕型リーダーシップについて知るといいかもしれません。

メンバーの“頭”を使う

単に人手を確保するのでなく、その人の頭も心も活用しなくちゃ。私はよく言うんだが、“人手を雇えば”、人の“頭”もおまけでついてくる。ところが多くのリーダーはそのことに気づいていない。*3

リーダーばかりが苦労していたり、メンバーが上手くいかなくてもどうしたらいいかわからなかったりする場合、それはメンバーの“頭”を使っていないといえるでしょう。

メンバーに逐一指示を出したり、言ったことをそのままやらせるということは、文字通り“人手”を使うことになります。

当然ながらメンバーにも考える力は備わっているにも関わらず、その人の考え方や判断に委ねることをしないリーダーは少なくありません。

しかもリーダーがメンバーの“頭”を頼りにしていないことがわかると、メンバーは「リーダーに信頼されていない」と感じるでしょう。

ですから、奉仕型リーダーシップにおいてはメンバーの“頭”を信頼し、細かい指示を出すべきではありません。それがお互いの信頼感を生み出すのにもよい影響をあたえるでしょう。

リーダー最大の仕事はビジョンを持つこと

『未来を見通す』ということは、説得力あるビジョンをもつということだ。これこそリーダーに許された特権であり、最重要の任務である*4

奉仕型リーダーシップはメンバーに厳しくあたったり、常に細かい指示を出すことはしないでしょう。

しかし、リーダーがチームの方向性を示さなければチームはまとまりを失ってしまいます。そのため、チーム全体の方針や信条となるビジョンを示すとよいでしょう。

例えば「顧客に最高の体験を届ける」というビジョンを設ければ、メンバーがなんらかの判断を迫られたとき「顧客に最高の体験を届けられる選択肢はどれだろう」と考えることができます。つまりビジョンが判断基準になるのです。

もしそれでもメンバーが困っているようであれば、リーダーは助ける、つまり奉仕するとよいでしょう。

結果も人間関係も重要である

この本のおもしろい点に「結果と人間関係を重んじるべき」という主張がなされていることがあげられます。

リーダーには「人間関係よりも結果が大切だ」という人と、「結果よりも人間関係が大切だ」と考えている人が多くいるようです。どちらの考え方の方が優れているでしょうか?

三隅二不二によって提唱された「PM理論」によれば、「結果よりも人間関係が大切だ」と考えているリーダーの方が、長期的に見た場合成果を出しやすいのです。

しかし、それ以上に「人間関係も結果も大切だ」と考えてるリーダーがもっとも成果を出すといいます。当たり前だと思うかもしれませんが、意外に人はどちらかしか選べないと考えてしまっているものです。

結果と人間関係は両立可能なものだと考え、どちらかを捨てる必要はないのだと知ることも重要なことだといえますし、メンバーの士気もこの方が高まるのではないでしょうか。

奉仕型リーダーシップの真価が試されるとき

リーダーがいなくなったときチームがどうなるか。有能な後継者を育てられるかどうかが、偉大なリーダーの証なんだよ。*5

奉仕型リーダーシップの素晴らしい点は、新たなリーダーが育っていくということです。

あくまでメンバーが主役で、リーダーはそれを助けるという仕組みでチームを運営していればおのずと次のリーダーは育つでしょう。

逆にリーダーがなんでもやってしまっているようでは、いつまでもそのリーダーほどに仕事ができる人が育つことはありません。

 
もし今のリーダーがいなくなったときにチームが崩壊してしまうようでは、長期的に成果をあげられるチームを運営できているとはいえません

リーダーがいなくなっても、これまでと同じようにチームが運営できるという点にこそ奉仕型リーダーシップの真価があるといえます。

「俺がいなくちゃこのチームは成り立たない」と自慢げに言っているリーダーとは、正反対の考え方であることがわかります。

まとめ

奉仕型リーダーシップは、リーダーの仕事はメンバーに「奉仕」することだと考えるものです。

メンバーひとりひとりが自分で考えて動く「自律的なチーム」を実現するために必要なリーダーシップであるといえます。

最近では「社員一人ひとりが経営者の視点を持って動く組織」を理想とする考え方もあるようですが、それは奉仕型リーダーシップがさらに拡張されていったものと考えることもできるでしょう。

 
今回紹介したリーダーシップを絶対的に正しいリーダーシップだというつもりはありませんが、いわゆる引っ張るリーダーシップしか知らずに悩んでいるようではいけません。

奉仕型リーダーシップは、従来型リーダーシップで発生しがちな問題を解決してくれる可能性があるものです。

*1:ケン・ブランチャード(2008)『ザ・リーダーシップ チームの力を最大限に引き出す秘密』 ダイヤモンド社
p.40

*2:例えば従来型のリーダーシップの一つであるカリスマリーダーシップは、才能がなければ実現できないという意見があります

*3:同上 p.73

*4:同上 p.53

*5:同上 p.150

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