ネガティブな人がポジティブ思考になるにはどうすればいいのか?

生活
この記事は約8分で読めます。

「ポジティブ思考のほうがよい」というものの、ポジティブ思考について論理的に説明できる人は少ないのではないでしょうか。

ポジティブ思考・ネガティブ思考は、説明スタイルによって説明できると過去に説明しました。

また、ポジティブ思考・ネガティブ思考の利点について説明したうえで、その思考は変えられると下記で書いています。

ここでは、ネガティブ思考の人がポジティブ思考になるにはどうすればよいのか具体的に説明していきます。

1.事実と感情を切り離す

ポジティブ思考になるためには、起きた事実とそれに対して思い込みを切り離す訓練が重要です

私たちは何かが起こると、無意識に物事を解釈してしまいます。

そこで、一歩立ち止まって「自分はこう考えているのか」と考えることで、物事の解釈をポジティブな方へ修正していくことができるようになります。

私たちは困った状況(Adversity)に直面すると、それについて考えをめぐらす。考えはすぐに思い込み(Belief)となって固まる。この思い込みはあまりに習慣的になっていて自分では気づかないことも多い。

マーティン・セリグマン(1991)『オプティミストはなぜ成功するか』パンローリング株式会社 (Kindle の位置No.3578-)

1.1.説明スタイルを知る

先程も紹介した記事で書いたように、ポジティブ思考であるかネガティブ思考であるかというのは、物事の解釈である「説明スタイル」によって決まります。

例えば、ミスをして怒られてしまったときに、「自分はダメな人間で、一生この状態のままである」と考えるのと、「今回は注意不足だった。次は気をつけよう」と解釈するのとでは、大きく思考が異なることがわかるでしょう。

ポジティブ思考とネガティブ思考は、曖昧な認識で語られることが多い。

そこで、まずポジティブ思考とは物事の解釈のことを指すと認識してください。

1.2.事実と思い込みと結果がある

この本ではずっと、どういう思い込みがあきらめを生むかを示してきた。これからはどうしたらこの悪循環が断ち切れるかを学ぶ。最初のステップは、困った状況と思い込みと結果の因果関係を知ることだ。第二のステップは自分の日常生活で、これらA(困った状況) B(思い込み)C(結果)がどのような作用をしているかを知ることだ。これらの方法は、二人の世界的認知療法セラピスト――バンダービルト大学心理学教授スティーブ・ホロン博士とニュージャージー州立医科歯科大精神科教授アーサー・フリーマン博士――と私が協力して開発した、正常な人々のための説明スタイル改革講座の一部である。

マーティン・セリグマン(1991)『オプティミストはなぜ成功するか』パンローリング株式会社 (Kindle の位置No.3578-)

下記のような言葉が出てきました。

  • A:困った状況(実際に起こった客観的な事実。本記事では事実と書きます)
  • B:思い込み(困った状況をどう解釈するか。感情は結果にする、感情は思い込みかどうか測定できないから)
  • C:結果(自分の行動や感情)

ペンシルバニア大学のセリグマン教授は本書のなかで、日常の出来事についても、このABCを書いてみることを推奨しています。

これがまさに、事実と思い込みを切り離す練習であるとぼくは考えています。

普段の生活のなかでは、このようなことを頭の中で考えてはいません。

しかし、これを意識的に行うことによって、自分の思考を認知し、いずれはコントロールできるようになります。

1.3.何かが起きたら、事実と思い込みと結果に分けて、さらに反論してみる

1.3.1 事実と思い込みと結果に分ける

上記の思考と合わせて、自分の感情に反論してみることは、ポジティブ思考になるのに効果的です。

例えば下記のようなことがあったとします。

  • 些細なミスで上司に迷惑をかけてしまった。上司は怒らなかったが私に失望したはずだ。私はショックだった。

まずこれをシンプルに、事実と感情に分けてみましょう。

  • 事実:些細なミスをした。上司に迷惑をかけてしまった。上司は怒らなかった。
  • 思い込み:上司は私に失望した。
  • 結果:私はショックだった。

こう考えると、上司が私に失望したことは事実かどうかはわからないと気付けます。

また、「私はショックだった」理由が、上司に失望されたことであるのなら、事実がどうかわからないものにショックを受けても仕方のないことだとわかります。

1.3.2 反論してみる

このようにして反論を考えてみましょう。

  • 反論:些細なミスだし、上司は怒らなかったのだから、失望されたかはわからない。わからないことにショックを受けても仕方がない。

ぼく自身もなにかをやってしまったときには、いつも物事をネガティブに受け取り、ショックを受けますし、ストレスも感じます。

しかし、少し冷静になって、事実と思い込みを切り分け、それに対して反論をしてみると、「気にしても仕方のないことを気にしている」ことに気づくことができます。

これがポジティブ思考を身につけるための第一歩です。

物事を受け取った瞬間はネガティブな解釈をしますが、意識的に考え直すことでポジティブに解釈することができるのです。

2.ストレス解消法という観点でも同じことが述べられている

2.1.思考のアンバランスとはなにか

ネガティブ思考からポジティブ思考へという観点のほかに、ストレス解消という観点でも同じようなことが語られていたので紹介。本質的には両者は同じようなものなんでしょうけど。

鈴木祐氏の『超ストレス解消法 イライラが一瞬で消える100の科学的メソッド』は、書名や派手な表紙から受けるイメージとは異なり、多数の論文が引用されており、科学的に信頼のおける情報が詰まっています。

本書のなかで鈴木氏は、事実に基づかない思考、「思考のアンバランス」が激しいストレスを引き起こすことに言及しています。

(思考のアンバランスは)明確な裏づけもなしに物事を決めつけてかかり、そのせいで大きなストレスが発生する現象を指しています

鈴木祐(2018)『超ストレス解消法 イライラが一瞬で消える100の科学的メソッド』鉄人社(p.49)。

これは、ここまで説明してきた「人が事実に対して不相応な感情を抱く」という現象と同じことを言い表しているといえるでしょう。

2.2. 思考のアンバランスが治ると効果は絶大

この思考のアンバランスは、簡単には治せないものですが、治ったときの効果は大きく、ストレス解消に大きく寄与するといいます。

残念ながら、「思考のアンバランス」には特効薬がありません。これらの思考は、長年の習慣で身についた「脳の癖」のようなものです。(中略)やや長い道のりにはなりますが、それだけに成功した時の効果は絶大。

鈴木祐(2018)『超ストレス解消法 イライラが一瞬で消える100の科学的メソッド』鉄人社(p.51)。

本書では、本記事で紹介した「事実と感情」を切り分けると同じように、様々な思考のアンバランスを解消するための方法論が紹介されています。興味のある方はぜひ。即重版されたそうですが、納得の内容です。

3.事実と感情を切り離す練習の実践例

実践例として、ぼくが残業せずにぱっと帰るときの思考について考えてみましょうw

  • 今日は仕事も終わったし、やりたいことがあるから、他の人は残っているけれど早く帰った。
  • でも、他の人のフォローができたかもしれないし、最近早く帰ることが多いから、それを気にしている人がいるかもしれない。
  • だから、早く帰っても申し訳ない気持ちやなんともいえない感情を抱いている(もしくは早く帰るのをやめる)。

残業の多い職場で働いているとわりによくある状況なのではないでしょうか。

これをぼくは下記のように考えるようにしています。

3.1.実践例

事実

  • 今日は仕事は終わった。遅れも出ていない。
  • 家でやりたいことがある。
  • 他の人は残っているけど早く帰った。

思い込み

  • 他の人のフォローができたかもしれない。
  • 最近早く帰ることが多いから、それを気にしている人がいるかもしれない。

結果

  • だから、早く帰っても申し訳ない気持ちやなんともいえない感情を抱いている。
  • (もしくは)早く帰るのをやめて、次の日の仕事に手を付ける。

反論

  • 他の人でフォローができそうな人は見る限りいなかった。本当に必要であれば声がかかるはずだ。
  • 他の人も早く帰るときは帰る。それに誰かに何かを言われたわけじゃない。そもそもそんなに空気の悪い職場じゃない。
  • 仕事も遅れてないし、早退ではなく、定時退社だし、申し訳ないと思う必要はない。

3.2. なんとなく感じていたモヤモヤは被害妄想だった

こんな具合で考えることで、なんとなく感じていたモヤモヤ(ネガティブな感情・ストレス)を低減することができるわけですね。

実際、ぼくが早く帰ることで何かを言われたことはまったくないので、ただの被害妄想なわけです。

それでも人間はそう考えてしまうだけでネガティブな感情を抱く。それを解消しようという思考方法です。

訓練を重ねていくなかで、鈴木氏のいう「脳の癖」が改善されていけば、そもそもネガティブなことを考えないようになっていくんでしょうね。

4.ネガティブ思考の人がポジティブ思考になるには「事実と感情」を切り分けて、無根拠な感情に反論しよう

ネガティブ思考からポジティブ思考になるには、まず無意識に抱いている思考に目を向けます。

そうすると、事実と感情が混ざっている状態になっていますから、それをきちんと切り分けてあげます。

そして、根拠のない感情に対して「そんなことはない」と反論していきます。

そうすることで、漠然としていただいていたネガティブな思考について「そんなことはないんじゃないか」と気づくことができるというわけですね。

ぼくも絶賛挑戦中というものではありますが、科学的にも信頼できるものという評価も多いですものなので、おすすめできます。

ストレスがないわけじゃあないですけど、なんだかんだ楽しく働いているので、効果はありそうですよw

※ここで説明した内容は医療行為とは異なるものです。深刻な症状を持っている方は専門家の治療を受けてください。

タイトルとURLをコピーしました