ロチェスター大学教授のエドワード・L・デシとリチャード・フラスト(1999)が書いた『人を伸ばす力―内発と自律のすすめ』に、こんな一文があります。
生きていることのほんとうの意味は、単に幸福を感じることではなく、さまざまな人間の感情を経験することである*1
この一文は豊かな人生を歩むうえで、真理といえるのではないでしょうか。
- 作者: エドワード・L.デシ,リチャードフラスト,桜井茂男
- 出版社/メーカー: 新曜社
- 発売日: 1999/06/10
- メディア: 単行本
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幸せなだけでいいのか
幸せであることが人生のすべてであると思う人は多いでしょう。
僕もそのひとりでした。
常に安定していて、幸せだと感じることだけが人生にとって重要だと考えていました。
しかし、それは全てとはいえません。
その根拠の一つとして、つらい経験をした人はポジティブな変化を経験するということがあげられます。
ショーン・エイカー(ハーバード大学修士号)の『幸福優位7つの法則 仕事も人生も充実させるハーバード式最新成功理論』で、それが述べられています。
重大な苦しみやトラウマは、さまざまな面において、非常にポジティブな変化をもたらす
気楽に生きることができる
さまざまな感情を経験することが人生において必要であるという考えを受け入れられると、気楽に生きていくことができます。
なぜなら、悲しい出来事やつらい経験も人生にとって意味のあるものだと思えるからです。
宗教ではこうした考え方が当たり前のようにされています。
試練は神が与えるもの、神がわたしに与えているのだから意味がある、というものです。
よく聞くような、「失敗は成功のもと」「失敗にも意味がある」といった言葉も同じようなことを示しているといえるでしょう。
山あり谷ありの人生
プロブロガーのイケダハヤト氏は、「会社を辞める勇気がない…とか言っている場合じゃないですよ。いつ死ぬかわからないんですよ。 : まだ東京で消耗してるの?」で以下のように述べています。
後悔にまみれて死ぬよりも、どうなるかわからない獣道に踏み込んだ方が、楽しいことはよくわかっていると思います。
イケダハヤト氏は自律的で豊かな人生を歩んでいます(本人がどう考えていらっしゃるかはわかりませんが)。
その要因の一つとして、物事に対して上記のような考え方をしているということがあげられるでしょう。
人生山あり谷ありといいますが、まさに人生とはそうしたもののことを指すということがわかると思います。
つまり、試練や困難を避けたり乗り越えるのではなく、受け入れて自分のものにすることが重要だといえるのではないでしょうか?
もちろんこれは容易なことではありません。
しかし、試練や困難を受け入れるための方法は、たくさん世の中に出ています。
まずは人生において、悲しみや怒りを伴う悲しい出来事やつらい経験を、意味のあるものだということを認識しましょう。
これも難しいことですが、それができるだけで自分の周りでの出来事の見方が大きく変わり、豊かになれると思います。