旧来型のリーダーシップと、新しいリーダーシップは大きく異なります。
しかし、多くの人は旧来型のリーダーシップが、リーダーシップのすべてだと思い込んでいます。
その原因の多くは、理論的に勉強することをせず、経験だけに基づいてリーダーシップを理解しているところにあるでしょう。
旧来型のリーダーシップと新しいリーダーシップの違いを理解することが、リーダーシップを発揮するために最低限必要なことだといえます。
以下の書籍を参考に両者の違いについてまとめました。
- 作者: マイケル A ウェスト,下山晴彦,高橋美保
- 出版社/メーカー: 東京大学出版会
- 発売日: 2014/05/12
- メディア: 単行本
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促進的か指示的か
旧来型のリーダーシップは、「みんなを引っ張る」「みんなの前に立つ」という言葉で表現されることがあります。
アドバイスを部下から求めるというよりは、自分がアドバイスをしてあげようと思っています。
また、部下の意見をまとめるのではなく、自らが決定を行うことに重点を置く傾向があります。
新しいリーダーシップは「チームに奉仕する」「みんなの手助けをする」と表現することができます。
メンバーの成功のために、積極的にアドバイスをしたりなど、リーダーが奉仕するのです。
またできる限りメンバーの意見を尊重し、自分の意見はあくまでメンバーの一人のものとして公平に扱います。
最終的な決断を行う場合でも、メンバーに「どうしますか?」と呼びかけ、リーダーは選択に関わらないように努めます。
責任は誰のものか
旧来型のリーダーシップは、責任はリーダーが取るべきだという考えに基づいています。
部下に責任をとらせないという面では、確かに安心感を与えるかもしれません。
しかし一方で、「どうせ責任は取らなくていい」「信頼されていない」といった感情を呼び起こす場合もあります。
責任を与えることは、仕事に対する責任感を持たせたり、その相手に対する信頼感を表明するといった意味合いがあるのです。
新しいリーダーシップでは、チームで責任を取るようにします。
チームメンバー一人ひとりが適度な責任を持つことで、メンバーの責任感を高め、チーム全体への信頼を示すことができます。
責任を全員が持つことで一定の緊張感が与えられますが、これは適切な仕事を行うために役立つものです。
まとめ
新しいリーダーシップと旧来型のリーダーシップでは、リーダーに対する考え方が正反対といっていいほど違います。
旧来型のリーダーシップは「引っ張る」という言葉で表現されますが、リーダーは本来「導く者」という意味を持っています。
メンバーを導く方法は決して、「引っ張る」ことだけではありません。
「背中を押す」ことや「促す」ことでも導くことができます。
そうした考えに基づくものが、新しいリーダーシップであるといえるでしょう。
一方で旧来型のリーダーシップが不要なわけではありません。
チームの成熟度によっては、引っ張るリーダーシップが必要になることもあります。
また火事などの緊急時に「さて、みんなどうしようか?」と聞いてくるリーダーについていきたいとは思えませんよね。
リーダーシップにはいくつかのやり方や考え方があります。
あなただけの経験だけでは、そのやり方や考え方が偏ったり間違ったりする恐れがあるのです。
ですから、客観的な意見をもとに、リーダーシップについて知る必要があるといえるでしょう。
繰り返しになりますが、新しいリーダーシップと旧来型のリーダーシップが大きく性質が異なっています。
違いを理解することが、リーダーシップを発揮する上で最低限知っておくべきことだといえるでしょう。