自分を過大評価せずに正しく自己評価をするための考え方

仕事
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一般に人は自分を過大評価しがちである。

デビッド・シロタ(2006)の『熱狂する社員』では「仕事において、8割の社員が自分の働きは平均以上だと考えている」という。

心理学博士、MP人間科学研究所代表の榎本博明氏も「誰もが「自分は正当に評価されていない」と思う心理学的理由」のなかで、下記のような調査を紹介している。

心理学者ダニングたちの調査によると、リーダーシップ能力について70%の者が「自分は平均より上だ」とみなしており、「自分は平均以下だ」とみなす者はわずか2%しかいなかったという。平均というのは真ん中を意味するわけだから、70%の人が平均を上回るなどということは統計的にあり得ない。

つまり、人間は実際の能力が低いとしても、自分の能力は高いだろうと判断してしまう傾向がある。簡単に言ってしまえばナルシストなのである。

参考:能力が低い人は、自分の能力が低いことに気づく能力も低い

今回はこうした私たちの傾向を認識したうえで、自分を過大評価せずに、正しく自己評価するための考え方を紹介する

この方法に科学的根拠はない。しかし、名言と経験をもとに考えだしたものであり、これに共感することができるのならば、自分をコントロールするツールとして役に立つはずだ。

落語の名言「下手だと思ったら、それは自分と同じくらい」

落語家 、古今亭志ん生のものとされる名言に下記のものがある。

他人の芸を見てあいつは下手だなと思ったら、そいつは自分と同じくらい。
同じくらいだなと思ったら、かなり上。
うまいなあと感じたら、とてつもなく先へ行っている。

自分より下だと思う人は自分と同じ、自分と同じだと思ったら自分より上、自分より上だと思ったらはるかに上

自分を過大評価しがちな私たちが、日々意識するべき考え方が上記のようなものだろう。

この考え方を知っておくことで、常に相手と比較したときに謙虚になれるし、また適切な自己評価につながるはずだ。

しかし、この名言を納得感を持って受け入れるためにはひとつ気になる点があることに気づいただろうか。

それは自分より下の人はいないのかという点である

自惚れるべきではないという意味で、自分より下の人を強く意識するべきではない。しかし、何であれ、現実的に自分より下の人が一人もいないというのは考えづらい。

自分より下の人を我々はどう思っているのか?

先程の名言に沿って考えるなら、私たちは自分より下の人をどのように認識しているだろうか?

答えは「認識していない」である。

その人が本当に自分よりも下の次元にいる人であるのなら、わざわざ意識していないはずだ。

例えば、自分よりもはるかに年下の子供に対して「私はこの子供と比べて優れている」などと考えるだろうか?

私たちは自分の周りの人すべてを意識しているわけではない。であるならば、「自分が意識している人の中に上の人も下の人もいる」と考えるよりも、意識の外に下の人がいると考えるほうが自然ではないだろうか

意識している時点でライバル

だから「あいつは認めない、あいつは下手だ」と言っている時点で、自分に近いところにいる存在だと認識してしまっている。

悔しいけれど、意識してしまっている時点で彼らはライバルなのだ

だから、他人と比較して「あいつには勝っている」と考えることは意味がない。

本当にその人を超えたときに起こる事象 というのは、努力しているうちに気づいたら、その人について忘れているというものだといえる。

まとめ「自分を過大評価せずに自己評価する方法」

本日の話を総括すると以下のようになる。

自分よりも上だと思う相手ははるかに上にいえる。自分と同じ程度だと思う相手は自分よりも上にいる。自分よりも下手だと思う相手は自分と同じくらいである。自分よりも下の相手のことを人は意識すらしない。

この記事では、自己評価に関する名言に「自分より下の人はどうなのか」という補足を加えたが、決して自分より下の人を認識したり、それを意識することを薦めるものではない。

あくまで、自己評価を高くしがちな自分を戒めるためにこの考え方を利用してほしい。

この考え方に基づけば、自分の認識している範囲にいる人は自分と同等かそれ以上ということになる。謙虚であれという一般的な教訓はやはり正しいのといえるだろう。

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