ミニマリストという考え方の大きな関心事の1つとして、その服装があげられます。
必要最低限のモノしか持たないというミニマリストですが、服は着ないわけにいきませんし、毎日同じ服装も基本的には好ましくありません。
またオシャレとして服を着る人も多いために、他人と比べずに自分の価値観を貫くミニマリストとはいえ、服装に関しては周囲の目を気にするのではないでしょうか。
今回はミニマリストの服に対する考え方について説明していきましょう。
服を持ちすぎると自律神経が乱れる?
そもそも服を少なくすることにメリットなどあるのでしょうか。ミニマリストは服を減らすべきだと主張する人が多いですが、その根拠はあるのでしょうか。
自律神経研究の第一人者で順天堂大学医学部教授の小林弘幸氏は、著書の『一流の人をつくる 整える習慣』で「服を捨てると集中力が増す」と述べています。
- 自律神経の専門家の立場からすれば、「何かを選ぶ」という作業はストレス以外の何ものでもありません。「選ばなきゃいけない」という状況こそが自律神経を乱し、コンディションを悪くする要因なのです。
- 調子が悪いときほど、クローゼットを開けて、いらない服が散乱していると、それだけでイライラしたり、一気にやる気を失ったりするものなのです*1。
この本のおもしろいところは、物が少ないことを専門家が科学的な根拠をもとに肯定しているところです。
今までミニマリスト本は多少科学的な根拠があっても、あくまで個人的な主張にとどまるものが多かったのですが、この本は違います。
ミニマリストの本というわけではありませんが、興味のある方は新しい視点ということで満足できるでしょう。
どんな服を買うべきか
シンプルな服装が基本
次に一般的にミニマリストはどのような服を買うべきなのか考えてみましょう。
出来るかぎり服を持たないようにするのですから、着回しなどがしやすいものが好まれます。
最も基本となるのは白シャツで、他の服も派手な色のものはあまり望ましくありません。
赤などデザインにおけるメインカラーとなる色の服は、着回しがしにくいうえに、短期間で何度も着ていると「また同じ服をきている」と気づかれやすくなります。
女性にはワンピースをおすすめできるでしょう。
ワンピースはシンプルなのにオシャレというだけでなく、ぼくの彼女によると「上下の着回しを考えなくていいから楽」なんだとか。
まさに「何かを選ぶ」ことを減らし、ストレスを感じなくてすむようにしてくれるといえます。
高級で長く使えるものを買う
服の価格帯、ブランドの傾向は大きく分けて2種類あるといえるでしょう。
1つ目は高級で長く使えるものを買うタイプです。
このタイプは、厳選した自分に合う同じ服を何度も着ます。服のメンテナンスも丁寧に行い、服を買うのにお金はかけません。
シンプルな服装ならば、そのときの流行に大きく左右されることもないので、問題なく同じ服を何年も着続けられるのではないでしょうか。
服を消耗品だと考え低価格のものを買う
2つ目は服を消耗品だと考え低価格のものを買うタイプです。
このタイプは服は消耗品だと考えるので低価格なものを買い、古くなったり、さすがに流行に遅れているとなったら買い換えたりします。もちろん、何かを買うときは何かを捨てて物が増えないようにします。
大雑把に2タイプに分けましたが、ユニクロなど比較的低価格の商品を長く使い続けることもできますし、ミニマリストといってもオシャレにこだわりのある人もいますから一概には言えません。
とはいえ、上記の2つの考え方をベースにするのがよいでしょう。
服装の制服化
『ぼくたちに、もうモノは必要ない。』には「私服を制服化する」という主張が述べられています。
常に着る服を同じにしようという考え方です。同じ服を複数持っていてもいいですし、色違いのものをいくつも所有するのもおもしろいかもしれません。
スティーブ・ジョブズはいつも同じ服だった。ISSEY MIYAKEの黒のタートルネック、リーバイス501、足元はニューバランスのスニーカーで、公的な場のプレゼンもこの格好でこなした。フェイスブックの創設者、マーク・ザッカーバーグはいつもグレーのTシャツ。アインシュタインもいつも同じ形のジャケットしか着なかったという*2。
先ほど紹介した『一流の人をつくる 整える習慣』でもシャツは「白一択」という習慣を著者が持っていることが書かれています。
- とりあえずワイシャツは白、スーツは黒と決めておくと、服選びが本当に楽で、ストレスがありません。
- これは必ずしも「白いシャツと黒いスーツにしなさい」ということではなく、人によっては「服を選ぶ」ということ自体がストレスになり、コンディションを崩していることがあるということです*3。
ミニマリストはユニクロ アンド ルメールを買うべき
ユニクロと、エルメスのウィメンズアーティスティックディレクターなどを務めたルメールのコラボ、「ユニクロ アンド ルメール」が話題になっています。
一流デザイナーの商品というと奇抜なものを思い浮かべる人もいるかもしれませんが、至ってシンプルな商品ばかりです。
ユニクロの流行にとらわれない汎用的な商品という方向性と、非常にシンプルながら細部までこだわったデザインは絶妙にマッチしているといえるでしょう。
そしてなによりミニマリストに向いている服だということができます。
ユニクロは質がよくてもデザインやシルエットに少し難があるという印象でしたが、ユニクロ アンド ルメールはその弱点がありませんので、言うことなしです。
一番のおすすめはボタンが見えないようにデザインされた白のワイシャツ。実際に買って着てみましたが、周囲からの評価も上々です。
自分はどうしたいかが大事
どれだけの服を持つべきかという疑問に対して『必要十分生活』という本から、1つの具体例を引用します。
私が着る服は、基本的に一年を通して変わりません。コートなどのアウターは変わりますが、基本的に中に着ているものは同じです。私の場合は襟付の長袖シャツが6、7着、長袖Tシャツが4着、ダウンジャケットが1着、ジーンズを含むズボンが4枚、ダークスーツが一着です。半袖がないことが不思議かもしれませんが、暑ければ長袖を腕まくりして着ます。
ミニマリストの服の数としては標準的な枚数だといえるでしょう。では上記の内容を参考にすればいいのかというと、そうではありません。
身も蓋もないように思うかもしれませんが、結局は自分がどう見られたいのかを意識して、自分で決めなければいけません。
私服を完全に制服化して同じ服を数枚で着回しするのか、厳選した服の組み合わせを10パターン程度は所有するのか、それは自分がちょうどよいと思える程度に調整しましょう。
ミニマリストとは「他人の価値観に左右されない生き方」というのが本質です。周囲にどう思われるかよりも、自分のありたい姿を優先するべきでしょう。
ただ周囲から「いつも同じ服を着てる」と思われるかもしれないことが苦痛であるのなら、それは本当の意味で自分のありたい姿とはいえないですから、もう少し服の種類を増やすべきです。
周囲の人の持っている服を参考にすることは大切ですが、最終的には自分がどうしたいかを考えて、自分らしさを貫くべきだということを忘れてはいけません。
服を減らすためにすること
今回は服に対する考え方を主にしていますので、服を減らすテクニックについては詳しく述べませんが、基本的なものに関してだけ解説します。
服にこだわりのない人に対しては2つ目の「いらない服は売るより捨てるべき」が特におすすめです。
とにかく最初は全ての服を並べる
TIME誌の「世界で最も影響力のある100人」にも選ばれた近藤麻理恵さんの著書『人生がときめく片づけの魔法』では捨てる前にすべての服を出して並べるべきだと述べています。
一見すると遠回りのように思えますが、どの服が必要でどれがいらないのかを判断するとき、全ての服を把握しておくことは非常に重要です。
近藤麻理恵さんは片付けのプロ。私たちよりはるかに片付けの経験があるのですから、下手に反論せずに従ってみてはいかがでしょうか。
まず、家じゅうのすべての収納から自分の服類を集めてきます。クロゼットの引き出しから、寝室のタンスから、ベッドの下の収納から、「一つ残らず集めること」がポイントです。
いらない服は売るより捨てるべき
これはぼくの経験談です。
ぼくは服にあまり興味がなく、服のブランドも詳しくないし、服のメンテナンスもちゃんと行っていません。
そんなぼくのような人が服を減らそうと考えたときは、売るのではなく捨てることをおすすめします。
今ではインターネット上で買い取り申請ができ、家まで荷物を回収しにきてくれますので、非常に簡単に服を買い取ってもらうことが出来ます。
とはいえ、ゴミ袋に服を入れるのと比べれば、はるかに手間がかかります。
ぼくのように服にこだわりのない人が服を売っても、ブランド物がない限りは20着で500円いくかどうかという程度です。
それならば、よりスピーディーに服を減らすために捨てることのほうがいいでしょう。
少しでも手間がかかると結局服を捨てるのが面倒くさくなったり、服が回収されるまでに時間がかかるのですぐに部屋が片付かず、次のステップに進むことができません。
環境に配慮したり、少しでもお金を得ることも重要ですが、確実に片付けを成功させたいのであれば「売るよりも捨てる」という選択もありでしょう。
まとめ
- 服を持ちすぎると自律神経が乱れる
- シンプルな服装が基本
- 買う服のタイプは「高級」か「低価格」の2タイプ
- 究極のミニマリストは服装を制服化する
- ミニマリストはユニクロ アンド ルメールを買うべき
- 服は何枚以下にするというものはなく、自分がどうしたいかが大切
- 服を減らすために、最初はすべての服を並べるべし
- ブランド物がないのなら、いらない服は売るより捨てるべき
というわけで、今回はミニマリストの服に絞って、その考え方をご紹介しました。
ぼくもシンプルな服装で揃えたり、服装の傾向を統一して、「あの人いつもああいうタイプの服着てるよね」と思われたら逆にかっこいいかなと思ったりしています。
ミニマリストについて調べたかった、多くの人にこの情報を伝えたかったという気持ちもありますが、実はユニクロ アンド ルメールをおすすめしたいというのが一番最初の動機です。
本当におすすめでして、ぼくは同じものを複数買おうかなと考えています。
たまにあんまり気に入ってないけど、買っちゃったから仕方なく着ようということがありますが、それでは楽しくありませんよね。
本当に気に入った服だけを買って、気に入らない服は着ない。その方が毎日が楽しく過ごせるのではないかと思います。