ぼくは35年ローンなんてものすごくバカらしい制度だと考えています。
もちろんファイナンシャルプランナーの人から話を聞いて、金銭的にメリットがあるということはよくわかってますよ。
それでも、賃貸や格安住宅のほうがずっといいとしか思えません。
なんでローンを背負わないほうが人生を楽しめる楽しめるのかという話を「安全・安心」「人は移動することにワクワクする」という視点からお話しましょう。
格安住宅は危険だなんてウソ
建築偽装とか耐震問題とかめったにない
格安住宅の話をすると、多くの人がそんなに安いなんて不安だと言うんですね。でもそんなことはありません。
熊本の住宅メーカー「ヒラキハウジング」だと2,3人で過ごせるような平屋が500万円で建てられるといいます。確かに信じられないような価格ですが、ヒラキハウジングは90年近くの歴史がある会社ですから、安心できると思います。
そもそも、格安住宅のほとんどが危険だなんことは絶対にありません。当たり前ですが日本には法律がありますし、あまりにもひどければ今まで家を建てた人が訴えをおこします。
どうしても人はネガティブなニュースに目を向けがちですが、とんでもない建物が完成するケースなんてまれでしょう。
最新の格安住宅か35年前のローン住宅か
格安住宅は価格が安いから、ローンを組むような高価な物件と比べて、耐震などの面で劣るという人もいるでしょう。
確かに家を建てた時点では、ローン住宅のほうが安全かもしれません。ですが法律がある以上最低ラインは同じです。
それから35年後、ローンを払い終わったあとはどうなるでしょう。
3000万円のローンをやっと返すまでの間に、格安住宅の人は少なくとも2つは新しい家を建てていると考えられます。
35年前のローン住宅(3000万円)と最新の格安住宅(500万円)はどちらが安全だと思いますか? 未来の建築技術の発展のことはわかりません。しかし、10年前のプリンター(10万円)と最新のプリンター(3万円)だったら明らかに後者がすぐれています。
古い家は貸したりもできますし、子供が増えたり、独立したり、両親と同居したり、ライフルスタイルの変化に応じて家の形を変えていける点も魅力です。
「本当」の災害が来たらどの家も壊れる
以前もお話しましたが、前の災害でヘーベルハウス絶賛されたのは、他の家が全て流されてしまっていたのに、ヘーベルハウスが残っていたからです。
ようするに大きな災害がきたら、どんな家だろうと危険なんです。500万だろうが3000万だろうが1億だろうが、巨大な災害が来たら壊れてしまうでしょう。
耐震強度が強いか強くないかなんて、大自然の前では大した問題じゃないんです。
だったら失ったときにリスクが小さくて、家の心配をせずに自分や家族の命を最優先できるような家のほうが好ましいといえます。
人は移動することにワクワクする
35年ローンはワクワクしない
「35年ローンを背負って家を買う」というのは、超つまらない選択なんですよという記事でイケダハヤトさんがこんなことを言っています。
「35年ローン組んで家を買うのがワクワクしない」というのは、もう時代の気分なので、合理的に説明するのは難しいです。わかる人にはわかるし、わからない人にはわからないでしょう。
35年ローンを組んで家を買うのはワクワクしない。ならば格安住宅はワクワクできるということもできます。
イケダハヤトさんは合理的に説明するのは難しいとおっしゃっていますが、ここでは「旅行」という概念と狩猟採集時代の人間の文化を利用して、合理的に説明してみます。ちょっと遠回りですが、非常におもしろい話ですよ。
なお狩猟採集時代に関しては、以下の記事を読んでいただければと。
人間の「旅行」という異常行動
冷静に考えると、旅行というのは生物としては異常な行動です。
旅行をするのは人間だけでしょう。ほかの動物は渡り鳥など「生きるために必要だから移動している」だけ。生きるために必要じゃないのに移動するのは人間だけです。
そして聖地巡礼など、旅行に似た概念は大昔からあります。
では、いつから人は旅行をするようになったのでしょうか?
それは人間が狩猟採集を辞めて、農耕を始めて定住しだした後からだと考えられます。
狩猟採集時代に旅行はありえない
なぜ狩猟採集時代に旅行はありえないといえるのかというと、狩猟採集時代の人々は常に食料を求めて移動し続けていたからです。
常に移動し続けている人が旅行をするわけがありません。普段の生活と旅行を区別することすら困難です。
というわけで、かつて私たちは当たり前のように移動を繰り返していたということと、それは農耕を始めた時点でストップしたということがわかります。
それでも人は移動し続けたい
しかし人間は数百年も移動を繰り返していた生物ですから、農耕を始めたからといってずっと同じ場所にとどまっているとストレスを感じてしまいます。人間本来の生活方法ではないからです。
だから、人間は旅行という奇妙な活動をするようになります。食料が安定して供給されていない時代でも、旅をする人はいなくなりませんでした。
なぜなら旅行というのは、かつて移動を続けていた人間らしい活動であり、それによってストレスを発散することができるからです。
農耕によって定住を始めた人間ですが、狩猟採集時代の習性で移動することを本能的に求めているといえます。他の生物で人間レベルで定住する生物はまれでしょう。
だから旅行というのは、定住している人間ならではの活動なんです。
定期的に家を移動させるほうがワクワクする
ここでやっと格安住宅に戻ります。
35年ローン住宅だと少なくとも35年はそこに住み続けることになるでしょう。そうすると人間はどうしても退屈になってストレスを感じます。なので旅行でストレスを発散するわけです。
格安住宅だと少なくとも10年に1回は引っ越しできるでしょう。
頻繁に引っ越して、生活する場所(稼ぐための拠点)を変えるというのは、狩猟採集時代の文化に近い行動です。つまりより人間らしい生き方だということができます。
だから35年ローンはワクワクしないし、格安住宅はワクワクするんです。別に市内でも場所か建物が変われば十分ワクワクできるでしょう。
ローンを背負わないという選択肢
私たちは旅行先や新天地での生活にワクワクしますが、これにはちゃんとした理由があるということです。より豊かな人生を歩みたいのなら、ワクワクできるほうがいいですよね。
人はどうしても周囲と同じ選択肢を選んでしまう傾向があります。しかしちゃんと両者のメリット・デメリットを考慮して選択しなければ、自分らしい生活を送ることはできません。
「安定」は魅惑な響きに聞こえますが「安定」が人生にとって好ましいものといえるか、よく考えなければいけません。
ロチェスター大学教授のエドワード・L・デシとリチャード・フラストが書いた『人を伸ばす力―内発と自律のすすめ
』に、こんな一文があります。
生きていることのほんとうの意味は、単に幸福を感じることではなく、さまざまな人間の感情を経験することである*1
怒りや悲しみやワクワクを感じられないような安定した人生に意味はありません。
こういったことも考えながら、自分らしい選択してみてはいかがでしょうか。
関連記事
jibunlife.hateblo.jp
*1:エドワード・L・デシ&リチャード・フラスト(1999)『人を伸ばす力』新曜社 P263