以前、キャリア・アンカーの話題について触れ、リーダータイプと独立タイプは別の存在なんだよという話をしました。
このキャリア・アンカーというが実におもしろく、他にもいろいろなことを考えることができます。
キャリア・アンカーはアメリカの学者、エドガー・シャインによって提唱されたもので、「人間が自分のキャリアを選択するとき、最も大切にしたい価値観」のことです。
例えば、ぼくは「自律・独立タイプ」なので、キャリアを形成していくとき自分で意思決定ができるか、自律的に行動ができるかを重視するということですね。
キャリア・アンカーは以下の8種類があります。「生活様式タイプ」はキャリアを選択するとき、家庭や個人の生活も仕事と同じように重視するのだとか。
- 専門・職能別
- 全般管理
- 自律・独立
- 保障・安定
- 起業家的創造性
- 奉仕・社会貢献
- 純粋な挑戦
- 生活様式
日本人は血液型のように、人を分類したがる傾向があるらしく受け入れやすい概念かもしれません。もっとも血液型の性格分類などと違い学問的な概念ですが。
今回は「自律・独立タイプ」と「起業家的創造性タイプ」に注目して、両者は似ているけど微妙に異なるよねという話をします。
自律・独立タイプと起業家的創造性タイプ
自律・独立タイプはとにかく自律的でいたい
自律・独立タイプの特徴は以下の通り。
- 高い能力、専門的知識を身につけている。
- 自分のやり方、自分のページを守って仕事を進めることを大切と考え、組織の規則に縛られることを嫌う。
- 独立の道を歩む傾向があり、そうでなくても研究職など自由度の高い職を好む。
上記のような特徴があるのですが、このタイプの人は必ずしも社長やリーダーになるような人ではないとぼくは考えています。
あとで説明する起業家的創造性タイプの人と比較して欲しいのですが、自律・独立タイプの人は独立したくて独立します。例えば「会社が嫌で嫌で……」といった感じです。
イケダハヤトさんはそれに該当するんじゃないかと思っています。
一方、起業家的創造性タイプは、結果的に起業したけれど別に独立したくて起業したわけではないのでしょう。
起業家的創造性タイプは新しいものを生み出したい
キャリア・アンカーであげられている起業家的創造性タイプの特徴は、とにかく新しいもの創造的なものを生み出したいという思いを抱き、人生の早い時期から夢を追いかけていることだそうです。
そして、このタイプの人は新しく創造的なものを生み出すためなら、自律・独立的である必要はないと考えています。これが自律・独立タイプとの大きな違いになるでしょう。
つまり、起業家的創造性タイプの人は、新しいものを生み出すために行動した結果独立したものの、別に独立したかったわけではなく、目的を達成するための手段として起業したにすぎないということです。
ぼくがこれを聞いて真っ先に思い浮かんだのは堀江貴文さん。
まあイケダハヤトさんといい、、ぼくが勝手に想像しているだけなのですが、この方たちを例にとってさらに二つのタイプの違いについて踏み込んでいきましょう。
2つのタイプの違い
自律・独立タイプは経営が苦手?
最近わかってきたんですが、ぼくはマネジメントはできないんですよ。会社を作るつもりもありません。
http://www.ikedahayato.com/20151203/49168870.htmlより
イケダハヤトさんは、自分でおっしゃっているようにお金を稼ぐ才能はあるし、独立してバリバリ活躍していますが、経営はできないのだとか。
実際「ブログ書生」という形で何人か人を“雇って”はいるものの、ほとんど干渉せず、それぞれが自由に行動しているそうです。
イメージとしては自律・独立タイプのボスのもとで、自律・独立タイプの人たちが自由に動き回っているという感じなのでしょう。
ぼくも高校時代の卒アルのランキングで「将来お金持ちになりそう」「将来社長になりそう」で一番だったのですが、どうにも社長になるということにそれほど魅力を感じませんでした。
今では、お金持ちになることにすらそれほど強い執着がありません。
ぼくは経営学を専門に勉強していますが、好きなのは戦略とかではなく、組織やそこで働く個人などばかりですしね。
社長になることと独立することっていうのは、似ているようで微妙に違うのかなと。
働くことを生活に組み込めるかどうかが違う
「あ、ここが違うのかも!」と思わされたのが、ちきりんさんと堀江貴文さんの対談。
ちきりん 会社を辞めてから「なるべく働かない生活」を目指してて、取材や講演依頼の9割は断ってしまいます。そしてひとり、引きこもってるわけです(笑)。でも、寂しいと思うことはありませんね。
第4回[ちきりん×堀江貴文 対談](後編)自立した理想の生き方を目指す|堀江貴文のゼロ──なにもない自分に小さなイチを足していく|ダイヤモンド・オンライン
(中略)
堀江 ええー、もったいない。もっと働けるのに。
ちきりん 前はバリバリ働いてました。それこそ朝から晩まで仕事にハマって。私はビジネスも好きだし、お金を儲けるのも楽しい。仕事はおもしろかったです。でも、それ以外にも送ってみたい人生があったんです。
堀江 単純に、仕事と遊びを区別しなければいいんじゃないですか?
ちきりん うーん、それって「仕事以上に楽しいものはない」って人のセリフですよね。
堀江さんは仕事を生活に組み込んでいますが、ちきりんさんはプライベートと仕事をきっちり分けていることがわかると思います。
これは起業家的創造性タイプの特徴なのかなと思うのですが、創造的なものを生み出したいという欲求に駆られているので、それに夢中になっているだけであらゆる充実感が得られるのかなと。
起業家的創造性タイプには芸術家になる人もいるそうですから、そこに自律・独立タイプの人との違いがあるのかもしれませんね。
勝手に有名な方のアンカーを決めつけて話を進めたので、「あれ?」と思う点もあったかもしれませんが、起業家タイプと独立タイプが違っているということは理解していいただけたでしょうか。
他にいろんなタイプがありますが、「どちらかという自分はどっちかな」と考えるとおもしろいでしょう。
キャリア・アンカーは単純に○○タイプというだけでなく、「二番目に高いのはなにか」「一番目がずば抜けて高いのか、二番目も同じくらい高いのか」といったように見方が色々あります。
そのため、人間を単純に八種類に分類しないで分析できるところもいいところです。
ぼくは圧倒的な「自律・独立タイプ」なので、イケダハヤトさんのブログ書生に向いていますよ。いかがでしょうか?
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